アプリコットフィズ
「振り向いてください」
あんたもきっと切ない思いを抱えてくるんだろう?じゃなきゃ、そんな顔、してないよね。
私があんたの恋に直接何かをできるわけじゃないけど、一緒に神様にお願いしてあげるよ。
あんたの想いが、ちゃんと届きますように、ってさ。
一人で願うよりも二人の方がきっと願いも強くなるでしょ?
ねぇ、あんたにそこまでお祈りさせる幸せな男って、誰なのかな?
もしもその男が、私だったら…一番、嬉しいんだけどね。
アメリカーノ
「届かぬ想い」
不思議だね。届かないってわかってるものほど、欲しくてたまらなくなるんだ。
オマケに諦められないからタチが悪い。
え?
私にもそんな想いがあるのかって?
ふふふ。 そうだねぇ。
私の想いが届いてないかどうかは、あんたのこの後の返事で決まる…って言ったら、どうする?
アメリカンビューティ
「言葉」
カクテル言葉で「言葉」っていうのも、ちょっと珍しいよねぇ。でもさ、言葉って不思議で、いくら重ねても届かないと思う事もあれば、全然必要ない時もあるよね。
たとえばさ、今のあんたと私には、言葉なんて必要ない。
ホラ、私の目を見て。
そうすれば、私があんたをどう思ってるか、なんて、すぐに分かるでしょ?
わからない?
…もっとよく見てよ。
あんたしか映ってない…それが答えだよ。
ウィドウズキス
「大胆」
今日は何かのイベントでもあったの?特にないのに、そんなドレスなの?
…ま、オシャレしてきてくれたっていうんなら嬉しいけど。
うん、すごく似合ってて可愛いよ。
あんたの清楚な雰囲気にもあってるし、いつもよりもちょっと大人っぽく見えるね。
あんたもかなりセンスが良くなったんじゃない?
私の教えのおかげ、なんて、買いかぶり過ぎだよ。
もともとあんたは可愛いんだからさ。
でも、ね。
ちょっとそれじゃ寒そうだから、このストールでも巻いておきなよ。
ついでにこのブランケットも。
肩がむき出しなうえ、ミニスカートじゃ身体が冷えるでしょ。
え、そんなものいらないって…。
じゃあ、こうするしかないか。
…抱きしめたくらいじゃ暖かくならない?
それじゃあ、もっと熱くなること、してあげる。
ウォッカ・アイスバーグ
「ただあなたを信じて」
ウォッカ・アイスバーグのカクテル言葉はすごくロマンティックだよね。アルコール度数が高いから、酔ったうえでの戯言なのかもしれないけど。
それだけ信じられる相手に巡り合えたってことが、私はスゴイと思うよ。
羨ましいくらいかも。
私?
私は人から信用されるタイプじゃないからね。
この通りのアレだから。
でも…あんたにそう言われたら、なんでもできる気がするよ。
試しに、月でも盗んでみようか?
ふふ、それは冗談だけど。
あんたの言葉はそれくらい私にパワーをくれるんだよ。
…信じてよね。
X.Y.Z.
「永遠にあなたのもの」
気になる女の子にそんなこと言われたら、ちょっと…ねえ?ドキドキしちゃうよねえ。
ん? 聞き慣れてるんじゃないかって?
そんなことないよ。
だいたい私は「意外といい人なのね」って、終わっちゃうタイプなんだ。
友達向きって言われたりさ。
前にもね…って、そんな話はどうでもいいでしょ?
大事なのは今から。
私がホントに女の子に慣れてるかどうか知りたいなら、あんたからオーダーしてみてよ。
返事はさ、このカクテルが教えてくれるから。
オールドファッション
「我が道を行く」
まるで私のことみたいだね。いっつもジュリアスにも怒られてるの知ってるでしょ?
でもさ、ファッションだけは譲れないんだ。
もしも私が普通のカッコしてたら、あんたはどう思う?
え? カッコいいんじゃないかって?
…そうかもしれないけどさ。
ただカッコいいだけの男になんてなりたくなんだよ。
私は私。
それが一番カッコいいって思わない?
カカオフィズ
「恋する胸の痛み」
誰だって、恋すれば痛みを抱えてるもんじゃない?あんたもそうだし、もちろん私も、ね。
でもさ、本当に誰かを好きになると、その痛みでさえなんだか愛おしく思えたりするんだ。
ふふ、実感こもってるって?
そうかもね。
だってさ、痛みなら今も抱えてる。
あんたと一緒にいられる時間はすぐに過ぎちゃうからね。
カシスソーダ
「あなたは魅力的」
ふふ、こんなところでこのカクテルを出されたら、誘ってるってことになるんだろうねえ。どうする?
誘われてみる?
あ。
やっと笑った。
あんたってば、今日ここに来てからずっと難しい顔してたからさ。
なにか嫌なことでもあった?
そうだよね、毎日生きてれば、嫌な事だってあるよね。
でも大丈夫。 自信もっていいよ。
だってあんたは、このカクテルよりもずっと、私にとって「魅力的」な存在なんだから。
カミカゼ
「あなたを救う」
え?いつも私には助けられてるって?
ありがと。
別に大したことをしてるつもりはないけど、あんたがそう言ってくれるなら嬉しいよ。
でも、ホントは私の方があんたに助けられてるのかも。
あんたがいつもこうやって、私のところに来てくれるのがさ。
すごく…ふふ、この先はまだ秘密、だよ。
これを飲み終わった後にまた聞いてくれたら、その時に教えてあげる。
少しは楽しみができた?
カリフォルニアレモネード
「永遠の感謝」
感謝してる人か…。もちろん私にだってたくさんいるよ。
意外かもしれないけど、親にだって感謝してる。
まあ、昔は反発ばっかりして、家を飛び出したりもしたけど。
今になるとわかるのさ。
親だって、私のことを心配して、いろいろ言ってくれたんだなって。
もっと早くわかってたら…って思うけど、たぶん、こう思えるようになったのはあんたのおかげだよ。
自分にも大切に想える人ができて、やっと親の気持ちがわかったんだろうね。
だから、あんたに会えたことが、私にとっては「永遠の感謝」かな。
カルアミルク
「悪戯好き」「臆病」
なるほどね。悪戯好きなのは臆病で、なかなか自分の真意を素直に伝えられないってことなのかも。
真っ直ぐに言って拒否されたら…って思うと、冗談半分にしか近づけなかったりね。
ん? 私だってそうだよ。
好きになればなるほど、臆病になるし。
だからってからかってばかりいたら、相手に引かれちゃってさ。
こう見えても、意外とデリケートなんだよ?
また、そうやって、笑うんだから。
いいよ、今は笑ってて。
真面目になってあんたを捕まえようとした時には、もう逃がさないんだから。
カンパリオレンジ
「初恋」
私の初恋ねぇ…。覚えてる限りで最初なのは、ああ、年上の女性だったね。
すごく大人に見えるのに、笑顔が可愛くて。
あんまりその人が好きだったから、わざと隠れて探させたりしてね。
ホントに子供だったよ。
なに、その顔。
あんたが聞きたいって言ったんじゃないか。
今頃どうしてるかねぇ。 今でも子供たちの人気者だとは思うけど。
え、いつの話なのかって?
そう、幼稚園の先生だよ。
今思えばあれが初恋だったね。
さ、私の話はしたんだから、次はあんたの初恋を聞かせてもらおうかな。
ギブソン
「決心」
…もう3杯目だよ。ちょっと今日はピッチが早すぎないかい?
そりゃ、カクテルはできた瞬間が一番おいしいから、すぐに飲み干してもらえるのは、ありがたいことだけどね。
それ、結構アルコール強いからさ。
ホラ、言わんこっちゃない。
だいぶ酔ってるでしょ? …仕方ない子だねぇ。
ん? どうしても私に聞きたいことがあるって?
そんな怖い顔しなくたって、いつでもあんたの話なら真面目に聞いてるじゃないか。
その言い方が茶化してるって…そんなつもりないんだけど。
この後の予定? なんで?
…まあいいか。
実はさっき決まったところなんだ。
大切な子と二人で大人の時間を過ごす、ってね。
で、他には? もういいって? ちょっとまだ帰っちゃダメだって。
次は私の話も聞いてよ。
答えは「イエス」か「ノー」でね。
…今夜、私と過ごすつもりはある?
キール
「最高のめぐり逢い」
まるで、あんたと私のことみたいだよね。だってそうでしょ?
この広い世界で出会うことができるなんて、奇跡としか思えないじゃないか。
それに、あんたと出会ってから、もう何年になる?
その間ずっと、私を想っててくれてるんでしょ?
ふふ、隠さなくたっていいじゃないか。
私だって、同じなんだからさ。
…あんたと出会えてよかった。
心からそう思うよ。
キールロワイヤル
「品格」
あんまり私には似合わない言葉かもね。ん? そんなことないって?
ありがと。
でもさ、品格が似合うのはもっと別にいるでしょ?
そうそう、いつも一番前でえらっそーにしてるやつとか。
でもね、あいつもさ、前はもっと嫌なヤツだったんだけど、最近は随分丸くなったっていうか…。
きっとあんたのおかげだね。
私達に新しい風を吹き込んでくれたから、みんなちょっとずつ変わったんだと思うよ。
もちろん私も。
…どう変わったか、知りたい?
キスオブファイア
「熱愛」
火のようなキス、あんたはしたことがある?身を焦がすような恋は?
私は…そうだね。
どの恋をしているときも、その瞬間は真剣だったし、その子しか見えなかったよ。
フラれてもフラれても、追いかけてったこともあるしね。
意外だって?
私って、マイペースだとか言われるけど、ホントはそうでもないんだよ。
この聖地にいる他の連中よりもちょっとだけスレてるってだけ。
ホントの私は、すごく一途だし、嫉妬深いし…。
ふふ、試してみたいって?
…私と火のようなキス、してみる勇気があるの?
それなら、おいでよ。
ギムレット
「遠い人を想う」
この聖地にいる連中は、みんな遠い人を心に抱いてるんだ。親だったり、姉弟だったり。 …恋人だっていたかもしれない。
今でも時々考えるんだよ。
もしも、守護聖になってなかったら、今頃何してるんだろう、って。
あ、後悔してるとか、恨んでるとかじゃないんだよ。
ただ、純粋に、別の未来があったんじゃないかって思うだけ。
普通に生活して、普通に誰かを好きになって、普通に…。
まあ、普通なんて何を基準にするかわかんないし、今の私にとっては今が普通なんだけどさ。
ねえ、あんたは…ずっと一緒にいてくれる?
遠い人になんて、ならないでよね。
約束だよ。
コペンハーゲン
「秘密の愛」
恋じゃなくて愛ってとこになんか深い意味があるような気がするよね。恋はヒミツにできないけど、愛ならヒミツにできるのかも。
だって、恋は隠せないでしょ?
ふふ、あんたが今、恋してるってことだって私にはお見通しだよ。
そんな風に知らん顔してもダメ。
目を見たらわかるんだよ。
ホラ、素直に言ってごらん。
…私のことが好きだって。
ヒミツにする必要なんてないでしょ?
私だって、同じ気持ちなんだからさ。
サイドカー
「憧れ」
あんたの憧れの人って…誰?上司? 先輩? それとも…昔の偉い人?
憧れの人と好きな人って、微妙に違う気がしない?
憧れの人、って言ってる時点で、すでに自分とは違う世界の人だって認めてるっていうか、手が届かないと思ってるっていうか。
別世界の人っぽい。
言ってる意味わかる?
…ようするに、あんたのその目。
私は遠い人間なんかじゃないから。
ホラ、こうして触れられる距離にいるってこと、忘れないでよね。
憧れなんて言われたって、嬉しくないんだからさ。
シェリー
「今夜はあなたにすべてを捧げます」
おっと、コレはちょっと危険だね。もしも、相手が私じゃなかったら、絶対に勘違いするよ。
あんたは無防備なとこがあるから気をつけないと。
男と飲むときは特にね。
男は皆オオカミなんだから。
え?
知っててオーダーしたの?
ってことは、今のあんたの気持ちがコレってこと?
…ふうん。
本気で言ってるなら、私も本気で答えようか。
もう逃がさないよ。覚悟しておいて。
シャーリーテンプル
「用心深い」
これは普通、ノンアルコールで出すんだ。だから、もしも、付きあいで仕方なく飲むことになったりした時に、こっそりオーダーするとイイよ。
見ためはまるでカクテルだから、男も騙されるってコト。
ただし、店によってはアルコール入りで作るとこもあるから、そこは注意だね。
まさに「用心深く」しないと、女の子は危険がいっぱいだからさ。
あんたはちょっと危なっかしいから心配だよ。
今日はどっちにする?
ふうん、アルコール入りの方でいいの?
酔ったらもちろん介抱してあげるつもりだけど、それだけじゃすまないかもね。
それでもいい?
ジントニック
「いつも希望を捨てないあなたへ」
ホラ、もう泣かないの。あんな二股男にフラれたくらいで、あんたが泣く必要なんてないでしょ?
どうせすぐにもう一人の女にも愛想をつかされるに決まってるよ。
あんたの魅力もわからない男なんて、ロクなヤツじゃないよ。
私だったら絶対に…。
あ…ごめん。
あんたが好きになったヤツなのに、悪く言われたくないよね。
でもさ。
あんたには笑顔の方が似合うから。
これを私からの言葉だと思って、飲み干してよ。
その後、またゆっくり話をしよう。
あんたの未来のために、ね。
ジンライム
「色褪せぬ恋」
今まで恋したことがなかった、なんていう気はないけど、なんだかもうずいぶん昔のことみたいな気がするのもホント。聖地に来てから、もう何年も経つけど、それこそドキドキするようなことなんてなかったからね。
ふふ、なかった、って言ったの、気が付いた?
そ、過去形。
最近ね、実はちょっとドキドキすることがあるんだよ。
理由ねえ。
あんたにだけ教えてあげようか?
ただし、聞いたら最後、私に最後まで付き合ってもらうことになるけどね。
だってホントに色褪せないかどうか、確かめないとイケナイでしょ?
二人で、さ。
スクリュードライバー
「あなたに心を奪われた」
ふふ、そんな顔して。照れることないでしょ?
あんたが、「今の私にピッタリのカクテルをください」って頼んだんじゃないか。
だからコレ。
ホントにぴったりなのを選んだと思わない?
ああ、違うってば。
奪われたのは「私」。
奪ったのが、あんたさ。
いつの間にか私の心の中はあんたでいっぱいになって、今、あふれちゃったんだ。
…私の告白、受け入れてくれる?
返事はこれを飲み終えた後に、ゆっくり聞かせてもらうことにするよ。
ね、いいでしょ?
スコーピオン
「瞳で酔わせて」
ふふ、今のあんたの顔。そんな目で私のことを見て、いったい何を期待してるのさ。
そりゃできれば、私だって、あんたの誘いに乗っちゃいたいけどね。
今日は止めておくよ。
だって、あんた酔ってるでしょ?
そんな勢いみたいなこと、させたくないんだよ。
今度はお酒に助けてもらわずに、私を見つめてくれたらいい。
それだけで私はあんたに酔わされるんだから。
スティンガー
「危険な香り」
あんたは危険な香りのする相手に惹かれたりしない?近づかない方がいい、って、わかってるのに、なんか離れられなくて、ズルズルハマっちゃって。
イケナイことほど燃え上がる、みたいな。
まあ、あんたはそういうタイプじゃないもんね。
きっと今までも優しい恋ばかりしてたんでしょ。
でもさ、たまにはアブナイ恋をしてみない?
私ならあんたを今までに感じたことがないくらいの熱い気分にさせてあげるよ。
ホラ、コッチに来て。 目を閉じて。
イイ子だね。 …もう逃がさないから。
ソルティドッグ
「寡黙」
今日は静かですね、って、なかなか鋭いじゃない。うん、今日はね、ちょっとアンニュイな気分なんだ。
…あんたになら、話してもイイかな。
私が守護聖になった時の話、したことあったっけ?
聖地からの使いから散々逃げ回ったんだよ、実は。
理由はね、まあ、いろいろあったんだけど…。
…やっぱりその話はまた今度にしていいかな。
今日はあんたとこうしてただ飲んでるだけでいたいんだ。
ワガママでごめん。
でも、こんなこと言えるの、あんたにだけなんだよ。
ダイキリ
「希望」
希望っていうとさ、なんかすごくいい言葉みたいに思われるけど、ホントはもうほとんど望みがないって状態のことなんだよ。知ってた?
「希」っていう字はものすごく少量とかすごく薄いって意味があるからさ。
薄い薄い、ホントに最後に叶うかどうかわからない望み、ってことで、あんまりいい意味じゃないよね。
私の「希望」?
いつか大切な人と二人で普通に暮らしたい、かな。
庭のある家に住んで、子供がいたりして、猫とか飼ったりして。
もしもあんたが同じ気持ちでいてくれるなら、希望じゃ無くなるんだけど、どう?
チャーリーチャップリン
「信じる恋」
ふふ、素敵なカクテル言葉だね。恋すると相手のことがアレコレ気になっちゃうじゃない?
今何してるのか、とか、誰といるのか、とかさ。
気になり過ぎて直接聞いちゃうこともあるかもしれない。
でもさ、言葉では何とでも言えるから、結局は自分が相手をどれだけ信じてるかってことなんだよね
大事なのは、自分の気持ち。
ん? どうしたの?
そりゃこうやってお酒を飲む相手が過去にもいなかったわけじゃないよ。
でも、今はあんただけ。 ホントだよ。
信じてほしいな。
テキーラサンライズ
「熱烈な恋」
愛じゃなくて恋、なんだね。なんだか意味深。
あんたは恋と愛の違いってなんだと思う?
昔から偉い人たちがいろいろ言ってるけどさ。
恋は冷めるとか愛は与えるものだとか。
今、あんたと私がこうしてるのって、恋? 愛?
ああ、別に悩ませようと思ったわけじゃないんだ。
それに私にとっては別にどっちだっていいしね。
こうしてあんたがそばにいてくれる。
この時間に理由なんて必要ないからね。
ニコラシカ
「決心」
今日のあんたはずいぶん思いつめた顔をしてるね。何か言いたいことがあるの?
ふうん、今は言えないんだ。
じゃあ、いつなら言える? …それとも私には言えないこと?
二人きりなら言えるっていうなら、今すぐにここから抜け出しちゃおうか。
実はさ、私もあんたにずっと隠してたことがあるんだ。
きっと今、このカクテルが思い浮かんだのも一つの運命かもしれないね。
神様がくれたチャンスかも。
ねえ、私の「決心」、聞いてくれる?
バイオレットフィズ
「私を覚えていて」
なんだか切ないね。絶対に別れの時にしか言わない言葉だからさ。
だって、すぐ目の前にいるなら、覚えてて、なんていう必要ないもんね。
もう会えないから、覚えててほしいんでしょ。
…あのころ、このカクテルを知ってたら、飲ませてあげたかったな。
ああ、ゴメン。
昔の話だよ。
ここに来る前の話。
まさか嫉妬してるの?
ちょっと嬉しい気もするけど、せっかく二人きりなんだし、ちゃんと私の目を見て話してよ。
…この先もずっと、忘れる暇もないくらい、ね。
ハイ・ライフ
「私はあなたにふさわしい」
ちょっと強気だよね。あの赤髪の男くらいなら平気で言いそうだけど。
え?
似たようなこと言われたことがあるって?
全く、アイツってば、油断も隙もない男だね。
ふさわしい、なんて、私は言うつもりはないけどさ。
あんたのこと、一番よくわかってるのは私だと思うよ。
信じられないなら、今、何を考えてるか当てて見せようか?
さあ、目を閉じて。
お望み通りのキスをあげるからさ。
ピニャ・カラーダ
「淡い思い出」
私だってね、片思いのままで終わったことがあるよ。…そんな驚くって、ホント、あんたって正直なんだから。
ま、そこがあんたのいいとこでもあるけどさ。
今思えば、アレが恋だったのかどうかも怪しいもんだけど、その時は真剣だったよ。
わざと、その子の通りそうな道を選んで、すれ違わないかってドキドキしたり。
期待してるくせに、いざホントに会ったら、話もできないんだよね。
また、そんな意外そうな顔して…。
ホントの私は結構シャイなんだよ?
そうじゃなきゃ、もうとっくにあんたにだって…。
おっと、アブナイアブナイ。
さ、思い出話なんて止めて、これからのことを話そうよ。
私達にはその方がずっと大事なんだからさ。
ピンクレディ
「幸福」
私、ピンクって大好きなんだよね。身に着けてるとすごく元気になれる気がするし。
メイクでもメッシュでも、つい使いたくなっちゃう。
だから、これが「幸福」っていう意味なの、すごく納得できるよ。
ん?
あんたには似合わない、って?
そんなことないよ。
女の子は誰だって、可愛くなる魔法を持ってるんだから。
それに、もうあんたは、その魔法の使い方、知ってるでしょ?
そうじゃなきゃ、この私が、こんなにドキドキするはずないからね。
ブラッディメリー
「私の心は燃えている」
この真っ赤な色、ホントに燃えてるみたいだよね。…って、あ、ヤダ。
ヘンな奴のこと思いだしちゃったよ。
そうそう、オスカー。
私の…まあ、仲間なんだけどさ。
不思議なもんで、最初はホントに気が合わないって思ってたんだ。
あんたも知ってると思うけど、女にはとことんだらしないっていうか、来るもの拒まずだからね~。
女の敵だよねぇ。
でもさ、実はそんな悪いやつでもないんだよ。
ロマンチストなとこもあるし、意外に真摯だしね。
あ、なに、まさか興味持ったとか?
…ちょっと許せないねえ。
あんたは私だけを見てたらいいの。
どれくらい私があんたに夢中か、今夜ゆっくり教えてあげなきゃいけないかもね。
ブランデーサワー
「甘美な思い出」
ホラ、起きて。あんたってば相変わらず、飲むと寝ちゃうんだねぇ。
美味しいから飲みすぎる?
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
じゃあ、これはサービスね。
…あんたに初めて会った時のこと、思いだしちゃったよ。
正直に言うとね、第一印象はそれほど興味なかったんだ。
でも、その日もあんた、ここで飲んで寝ちゃって。
なんとなく、その寝顔見てたら…。
ふふ、どんな顔してたかはヒミツ。 ま、ちょっと忘れられないかな。
私だけの心の中にしまっておくよ。
あんたとの思い出はどれも私にとっては大切だからさ。
ブルームーン
「できない相談」
あ、ちょっと、こっちに顔向けて。ここにクリームついてるよ。
さっきのパンケーキのじゃないかな。
取ってあげるから動かないで。
…って、どうしたの?
飛びあがるほどびっくりしなくてもイイじゃない。
そりゃ、ちょっと唇に触れちゃったかもしれないけど、付いてたクリームをとってあげただけだよ?
ふふ、どうせなら、私だって美味しいほうがいいからね。
甘いクリームをおすそ分けで味あわせてくれたっていいじゃない?
はいはい、なめとったのが気に入らないなら、あんたに仕返しさせてあげるよ。
私の口の横にクリームをつけて、と。
はい。
やっていいよ。
フランボワーズソーダ
「誘惑」
あ! ダメダメ!割れたグラスに触るとケガするよ…って、もう遅かったか…。
私が片づけるから、あんたは動いちゃダメ。
大丈夫じゃないよ。
ホラ、手当てしてあげるから、傷を見せてごらん。
…血が出てるね。 ん…。
どうしたの?
傷口を消毒するには、舐めてあげるのが定番でしょ?
あんたの指に痕が残ったりしたら大変だからね。
ゆっくり消毒してあげる。
ふふ、そんなふうにビクビク震えちゃって…可愛い。
もしかして、指を舐めただけで感じちゃってるの?
あんたさえ望むなら、いつだって天国へ連れて行ってあげるよ。
ホラ、気持ちイイなら、「もっと」っておねだりしてごらん。
ブルーラグーン
「誠実な愛」
恋愛のゴールってさ、なんだと思う?やっぱり結婚?
じゃあ、結婚しなかった恋愛は全部遊び?
この先、私あんたがどうなってるかなんて、未来は誰にも分らない。
だって、明日もこの同じ場所にいるかどうかだって、100%確かなことじゃないだから。
だからこそ、私は今を大事にしたいんだ。
今、この瞬間、私はあんたを心から大切に想ってる。
それじゃダメ?
あんたの心には響かない?
過去の恋愛と何が違うのかなんて説明できないけど、わかってほしいんだ。
あんたが私にとって、特別な存在だってことをね。
フロリダ
「元気」
うーん、なんかいつもとちょっと違う顔をしてたから気になってさ。いつもなら、私の目でキラキラした笑顔で挨拶してくれるのに、今日はため息と一緒だったからね。
何かあったのかな、って思ったわけ。
なるほど。
同僚と言い争いになった、ってことか。
まあ、しょうがないんじゃない?
この世界の全員と気があって、全員が大好きです、なーんてこと、ディズニー映画でもなきゃありえないんだし。
気が合わないヤツも嫌いなヤツもいて当然でしょ?
忘れちゃいけないのは、そんなヤツのことも好きって思う人たちがいるってコトだけ。
ヤツにもいいところがあるかもしれないって探す努力をしてみたらいいんじゃない?
とりあえず今日はこれ飲んで。
また明日はいつもの笑顔を見せてよね。
ベルベット・ハンマー
「今宵もあなたを想う」
ふう、もうこんな時間か…。今日はあの子、来なかったね。
ここんとこ毎日だったから、なんだか拍子抜けだよ。
そういえば、もうすぐ仕事が忙しくなるとか言ってたっけ。
ガッカリしてるわけじゃないけど、なんか…ね。
折角、オレンジだって飾り切りしといたっていうのにさ。
無駄になっちゃうじゃないか。
しょうがないから自分で食べちゃえ。
…普通に食べても味は同じか。 当たり前だけど。
もしかして駆け引きだったら、今回は私の負けだね。
あんたに会えないと、結構寂しいってわかっちゃったからさ。
仕方ないから今夜はこれでも飲もうか。
今宵もあなたを想って。
一人の夜に乾杯。
ホーセズネック
「運命」
あんたは運命を信じてる?私は信じたくないね。
出会い方は…そりゃちょっとは運命的だったかな、とは思うけどさ。
なんてったって、私は守護聖で、あんたは…。
こんな出会い方、そうはないだろうしね。
生まれた星も時間もまるで違うんだし。
普通ならすれ違う事さえなかっただろうからね。
でもね、あんたが私にくれる気持ちが運命のせいだなんて思いたくないんだ。
私だってそう。
この気持ちが運命なんてものに勝手に決められてたなんてありえない。
私が、私自身の気持ちであんたを好きになったんだから。
信じるなら運命なんかじゃなくて、私にしてよね。
マウントフジ
「もしも願いが叶うなら」
あれ? もう朝?いつの間に寝ちゃったんだろう…。
カウンターに突っ伏してたから、腕とかあちこちイタイよ。
…て!
そういえば、昨夜って、あの子と約束してたんじゃなかったっけ?!
は~、どうしよう。
まさかここで寝ちゃってたなんて…カッコ悪くて言えないよ。
あれ?
でも、このストール…。
こないだ、あの子がココに来た時に巻いてたやつじゃ…。
間違いないよね。 あの子の香りもするし…。
しかも手紙まで。
「起きたらメールくださいね。」だって。
…よし! 決めた!
ただの知り合いのままでいられないって、素直にそう伝えよう。
私があんたの特別になれるように。
マルガリータ
「無言の愛」
強いお酒が飲んでみたいって?全く…好奇心は身を滅ぼすってことわざ、知らないの?
そんなにお酒に強くないでしょうが。
うーん、まあね、他の店で飲まれるよりは私の前の方が安心だけどね。
じゃあ、特別に一杯だけ。
あんたでも知ってる有名なカクテルをごちそうするよ。
周りの塩を一緒に飲むと、涙の味がするって言われてる。
どう?
塩の後に強いアルコールを感じて、むせちゃうくらいでしょ?
これが軽く飲めるようになったら…ま、一人前かもね。
って、もう目がトロンとしてるじゃない。 危なっかしいねえ。
でもさ、そんなに早く大人になろうとしないでよ。
まだあんたにとっての「お兄ちゃん役」を続けていたいんだからさ。
もう少し今のままで…なんて、贅沢な願いなのかな。
メリー・ウィドウ
「もう一度素敵な恋を」
どうかした?やけに暗い顔してるじゃない。
ふーん、あんたの友達が…。
悲しいけど、仕方ないよね。
相手に気持ちが無くなったんじゃ、追いかけても辛くなるだけだよ。
誰が悪いわけでもないし。
よくある話さ。
え?冷たいって、私が怒られるのは納得いかないねぇ。
…そうだ。 ちょっとこっちおいで。
あんたにこのカクテルの作り方を教えてあげる。
材料を混ぜたらステアするだけだから、難しくないよ。
ホラ、やってみて。
まあ、初めてならこんなもんかな。
その友達に作ってあげるとイイよ。
このカクテル言葉と一緒にね。
モスコミュール
「けんかをしたら、その日のうちに仲直りする」
あ~、また失敗か…。今度は甘すぎるね…。
店が閉まった後、大抵こうして一人で練習というか研究するんだけど。
今日はどうにもうまくいかない。
新作を作ろうとしても何も浮かばなくて。
だからジンフィズの練習をしてみたんだけど、やっぱり何回やってもダメ。
失敗作を飲みすぎて、珍しく酔ってしまったみたいだ。
…うまくいかない理由なんて、ホントはわかってる。
立て続けにグラスを空けたあの子に飲みすぎだって注意したら、『関係ないじゃないですか!』って言われたことにイライラしたんだ。
関係ないふりをずっと続けてきたのは、私のくせに。
私のはっきりしない態度にあの子の方こそイライラしてたんだよね。
よし、最後の一杯はこれにしよう。
これを飲んで、謝りに行かなきゃね。
雪国
「恋を占う」
手を出してほしい? なんで?へえ、手相占いねえ。
友達と占い講座に行ってきたんだ。 …女の子ってホントに占いとか好きだよね。
はいはい、どうぞ。 見ていいよ。
…生命線長い?
感情線が短いと享楽主義なの? ふーん、結構当たってるかもね。
じゃ、恋愛は?
この辺で見るんだ。
それはわかったけど。
ね、今の私の恋愛がうまくいくか、とかはわかんないの?
そりゃ、私だって恋くらいしてるさ。
ちょっと今までの私では考えられなくらい、真面目で純粋に恋してるよ。
ん?
なんでそんな顔するの?
わからない?
今、あんたに触れられてる指先がすごく熱いってコト。
私の恋が上手くいくかどうか答えを知ってるのは、手相なんかじゃない。
あんたなんだよ。
ワインクーラー
「私を射とめて」
今日はあんたからリクエストがあるの?言ってみてよ。
ふうん。
「ワインクーラー」か。
ちょっと待ってね。 すぐ作るから。
…はい。
ところで、このカクテルをオーダーした意味はナニ?
ただ飲みたかった…なんてわけじゃないんでしょ?
ふふ、赤くなっちゃって。
言いにくいなら私が言おうか。
ああ、言葉にするよりも目を閉じてもらった方がわかりやすいかもね。
ココじゃ恥ずかしいって言うなら、今すぐこっそり抜け出そうか?
私がどれくらいあんたに夢中か、説明しなくてもわかるようなキスをあげる。
…もしかしてキスだけじゃわからないときは…
一晩かけて、ゆっくり教えてあげるよ。 ゆっくりと、ね。