カラン
涼やかな音を立てる水割りの氷が月の光に煌めいて
キラキラ キラキラ
パルク・ディマンシュの観覧車の中で目を輝かせて外を見ているあんたを
抱き締めたい
ってずっとずっと思って見てたんだ。
宮殿に戻ったのは今日はきっと眠れないだろうと思ったから。
水割りを片手にエンジュにメールを送る。
それにしても…
別れ際は『夜更かしはお肌に悪いから早くおやすみ』、
今送ったばかりのメールには『今夜は、眠れないよね?』
笑っちゃうくらい矛盾してるよねェ。
もしこれが他の誰かのエピソードなら、「どっちなのさ」と笑い飛ばすところだけど、あいにくと自分のコトだから苦笑しかできない。
最近エンジュといると常にこんな感じで…
素の自分や本音をポロっと出しては、怖がらせないように別の話題にしてみたり、『なーんてね☆』と冗談にしてみたり…
あわてて“私”を引っ張り出してきてるんだ。
ねェ、エンジュ。
冗談にした言葉の中にどれだけ強い願いや想いが入っていたか分かる?
あんたを好きすぎて、観覧車の中で我慢したようにはもう押さえがきかないかも。
…なーんてね☆
新しい宇宙で頑張ってるコレットやレイチェルを見捨てるなんてできないし、させられやしないよ。
それに、さっき言った通り、私が好きになったのは『宇宙を自由自在に飛び回って、生きる喜びに輝いてるあんた』だからね。
ただ少しだけ“私”を出さないで、あんたをドキドキさせるようにしようかな。
とりあえず、今日は昨日の夜景に負けないくらいキラッキラのネイルをしてあんたに会いに行こう。
今はまだそれだけで…
Fin