涙もろい素直な姿 心掴まれて手を伸ばす

美純様


企画7

午後の執務も一段落した頃、一人散策中のロザリア。
森の茂みで見つけたのは、大きな鳥に襲われ怪我をしたのだろう巣立ったばかりの小さな鳥。
急いで連れ帰り小鳥を介抱するロザリア。
傷が癒えるまでの間、自分の執務室で一緒に過ごす事になったその鳥の音色は、彼女の心も癒す存在になっていく。

ある日のティータイム。
ルヴァ様からもう自然へ帰しても大丈夫だろうと言われるものの、
また襲われてしまったら・・・・今度は怪我ですまなかったら・・・・
ロザリアの心は踏み切れないでいる。
それを見たオリヴィエ様が意地悪そうに
「その子には自由に飛べる羽があるのに、アンタはそれを奪うのかい?」 と嫌味を放つ。
鳥籠に入った姿は、それはまるで聖地に縛られた守護聖と同じじゃないか、と。
彼女の気持ちも解らないでもないが、自分と重ねてしまいつい溢してしまったオリヴィエ様。気付かされるロザリア。

次の日の曜日、意を決したロザリアは一人で小鳥を空に放つ。
瞳に溜めた涙は今にも零れ落ちそうなほど。
そこに偶然、オリヴィエ様が出くわす。
「こんなにもあの子の事を思っていたアンタに、キツイ言葉を言って悪かったよ。でも、ありがとう。」
ありがとうの言葉を聞き、堰を切ったように涙が流れる。
可愛がっていた小鳥に言われた気がしたから。
小鳥には伝わらないだろう、自分の方が癒されていた事。幸せを貰っていた事。

わたくしこそ、ありがとう。


美純様より、ご参加いただきました。
お忙しい中、無理なお願いを聞いてくださいまして、ありがとうございます。
イラストをお寄せいただいた時にお話ししていまして、「イラストを描くときはシチュエーションとかを想像しているんですか?」と私が質問したんです。
そうしたら、「想像しながら描くこともあります。」とお返事くださって。
「それではぜひ、こちらのも教えてください~。」とムチャぶりしちゃいました。

でもでも!!!
なんて素晴らしいSSでしょうか! 
この1枚のイラストにこんな美しいお話が隠れていたなんて~~~。お願いしてみて本当に良かったです。
やっぱり絵師様の心の中には、こんな素敵なお話があって、それを絵にしていらっしゃるんですねー。

まだそれほど親しくないオリヴィエ様とロザリア。
たしかにオリヴィエ様にとって、ロザリアの第一印象はよくない気もするんですよね。貴族ぶった態度が気に入らなかったりして。
でも、この出来事から、ロザリアの心に触れて、きっとまっすぐに向き合うようになってくれると思います。
恋が始まる前の、二人にとっての大切なエピソード。
抒情的な言葉と、印象的なセリフで綴られる物語は、まさに美純様の世界だと思います。
素敵なイラストとお話をありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。

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