2.
しんと静まり返る室内。
重い空気が支配する部屋に、突然ふっとオスカーの笑みが響いた。
オスカーの優しげな表情に、ロザリアも張りつめていた息を漏らし、さらに微笑みを浮かべて見せる。
「この数か月、君がオリヴィエと楽しそうに過ごしているのを見てきた。
だから君はオリヴィエを選ぶのではないかと、そう思っていたんだ。
そして、もしも君がオリヴィエを選んだ時、俺はどうするべきかも考えた。
同僚に戻る、と以前は言ったが…。」
オスカーはそこで言葉を切ると、苦しそうに顔をゆがめた。
「…できそうもない…。」
「私もだよ。
あんたがオスカーと一緒にいるのを見て、あんたが幸せならそれでもいいと一時は思ったんだ。
でもね…。」
オリヴィエも同じように言葉を切ると、切なげに眉を寄せた。
「やっぱり無理なんだ。
自分以外の誰にも…オスカーにでもホントはあんたを渡したくない。
ただの同僚に戻るなんて、無理。」
彼らの言葉に聞き入っていたロザリアは、混乱していた。
どちらかを選べと言ったのに、今、彼らは自分以外の誰にもロザリアを渡したくないと言う。
でも、ロザリアは一人なのだ。
二人それぞれの恋人にはなれない。
「しかも、私達ともう会わない? 他の男と付き合う? ありえないね。」
オリヴィエが立ち上がると、オスカーも続けて立ち上がる。
長身の二人から見下ろされる形になって、ロザリアは急に動悸が激しくなるのを感じた。
威圧感、とでもいうべき空気が二人から流れてくる。
「…どちらも好きだから、選べないんだな?」
真摯なアイスブルーの瞳にロザリアはこくりと頷いた。
好きだから、同じくらい大切だから。
選べない。
ふと、オスカーが足を踏み出した。
「えっ?!」
ロザリアが声を出す間もなく、オスカーは軽々と彼女の体を抱え上げ、肩に担いだ。
「なにをなさるの! おろして!」
ジタバタと足を動かし、ロザリアはオスカーの背中を拳で何度も叩く。
けれど、彼はそんなことにはお構いなしに、ロザリアを寝室に運び込むと、その体をベッドの上にふわりとおろした。
優雅な天蓋のついたベッドの上に投げ出されたロザリアにオスカーが近づいてくる。
「君が俺を好きでないなら、あきらめるしかないと思ったさ。
だが、好きだというのなら、誰にも渡さない…!」
オスカーはロザリアをベッドに押し倒すと、強引に唇を重ねた。
初めてのキスにロザリアは目を見開き、オスカーの体を押し返そうと必死に腕を伸ばす。
そんなロザリアの手がグッとベッドに押し付けられた。
いつの間にか寝室に入ってきていたオリヴィエが彼女の手首を抑えているのだ。
「ん・・・!」
声にならない声を上げると、その瞬間を待っていたように、オスカーの舌がロザリアの中に侵入してくる。
相変わらず、腕は押さえつけられていて、全く抵抗ができない。
そのうちにオリヴィエの吐息が耳にかかってきた。
息を吹きかけられるたびに、不思議な感覚がゾクゾクと背筋を駆け上がる。
耳の中に舌を入れられて、思わずロザリアはのけぞった。
「んん…。」
オスカーの舌はその間もロザリアの口中を犯し続けている。
慣れた動きで上あごをなぞり、歯列をたどり、舌を絡める。
プレイボーイとのうわさ通り、彼のキスは巧みにロザリアに未知の感覚を与えてくるのだ。
こんなキスはロザリアの中にはなかった。
唇を触れ合わせただけで真っ赤になる、映画の中の恋人たち。
これが本当のキスなのだろうか。
何もかもが取り込まれて、オスカーの一部になってしまいそうだ。
自分の中に感じるオスカーの感触に、ロザリアは溺れていた。
耳を舐めていたオリヴィエの唇が首筋を滑り、鎖骨に触れている。
服越しにロザリアの肩や脇を撫でていた手が、ボタンをはずしていくのに気が付いて、ロザリアは思わず体をよじった。
「ん!!!」
抗議の声を上げてみても、オスカーに塞がれたままの唇からは息のような音しか出ない。
暴れた手を今度はオスカーに抑えられ、ロザリアは諦めるしかなかった。
前がはだけられて、体にひんやりとした空気を感じる。
今更ながら、こんなワンピース一枚でいたことを後悔したがもう遅い。
二人がかりで順番に腕を抜かれ、ロザリアは簡単に下着だけにされてしまった。
「キレイだよ…。」
オリヴィエの声にロザリアはカッと全身が熱くなった。
羞恥心でいっぱいで、涙がこぼれそうだ。
オリヴィエはじっとロザリアの胸が上下するのを見つめている。
下着をつけているはずなのに、肌を焼くような視線にまるで直に見られているような気がする。
布の上からゆっくりとふくらみを撫でていくオリヴィエの手の動きは官能的だ。
焦らすように撫でるだけの手がもどかしい。
じわりと湧いてくる不思議な疼き。
けれど、オスカーの唇が離れた瞬間、ロザリアは初めて大声を上げた。
「やめて! 二人とも、こんなこと…。 許されませんわ!」
眦に涙を浮かべて叫んだロザリアを、オリヴィエが優しく見つめる。
彼は指先でロザリアの涙をすくいとると、それをさも愛おしいものであるかのように舐めとった。
「どうして? なんで許されないの?」
いつもの彼と同じ。
包み込むような暖かさをたたえたブルーグレーの瞳に、ロザリアは狼狽した。
いくら知識の少ないロザリアでも、今のこの状況が尋常ではないことくらいはわかる。
右にはオスカーがいて、ついさっきまでキスをしていた。
そして左にはオリヴィエがいて、ロザリアの体を撫でている。
「だって…。 おかしいですわ。 こんな…。」
愛を交わす行為は、愛し合った男女でする、二人だけの秘め事。
貞淑な上流階級で育ったロザリアは幼い時からそう教えられてきたのだ。
「おかしい? 愛する女性に触れたいと思うことがおかしいのか?
俺達は君を愛している。君も俺達を愛している。 …それ以上は何の必要もないだろう?」
オスカーはロザリアをかかえ起すと、その体を強く抱きしめた。
彼の唇がロザリアの唇すれすれのところに重ねられる。
「君が欲しいと思うことは、罪なのか? 俺達の想いは君とって、不必要なものなのか?」
ロザリアは混乱していた。
罪なのか、不必要なのか。
そう尋ねられれば、答えは『NO』かもしれないが、間違っているというのも確かなこと。
けれど、オスカーの言葉に反論しようと考えても、うまく言葉が見つからない。
抱き起されて、オスカーの胸に抱き込まれたロザリアの顔がちょうどオスカーの胸にあたっている。
驚くほど速い彼の鼓動がますますロザリアを混乱させていた。
悩んでいるうちに、オリヴィエが背中のホックをはずした。
ふるんと勢い良く、豊かなふくらみが零れ落ちる。
先ほどからの二人からの愛撫と触れた外気の冷たさに、すぐに胸の先端が硬くなった。
「あん・・・。」
信じられないような甘い声が口から飛び出して、ロザリアは顔を赤らめた。
オリヴィエが背中から、ロザリアのふくらみをゆっくりと揉み始めているのだ。
優しく下からもみ上げられる感覚。
オリヴィエは先端には触れずに、ただゆっくりとふくらみを楽しんでいるようだ。
じれったいとすら感じられて、ロザリアは唇をかんで声を堪えた。
「収まりきらないね。」
オリヴィエは掌からあふれるふくらみにふっと笑みをこぼした。
服の上からでも彼女のボリュームのある体はわかっていたが、改めて触れてみると、予想以上に柔らかく、掌に吸い付くように滑らかだ。
いつまでも触れていたくなる。
「あ!」
硬くなった先端を指先で弾かれ、ロザリアは思わず声を上げた。
びりびりとその部分から電流が走る。
これが『快感』なのか。
ロザリアの背中がゾクゾクと震えたのを見たオリヴィエは、ふくらみを揉みながら、先端を弄りはじめた。
「ん…。」
オリヴィエの手で自在に形を変えるふくらみ。
指先が先端をかすめるたびにブルブルと震える身体。
あまりに官能的なロザリアの姿に、オスカーは彼女の胸の頂に舌先を近づけた。
「いやあ!」
オスカーの舌が触れ、ロザリアの体がびくんと跳ねる。
突起を口に含んだオスカーは、唾液を塗り付けるように、それを舌先で転がした。
強すぎる快感がロザリアの全身を駆け巡り、舌の動きに合わせて体ががくがくと震える。
前からのオスカーの舌と、背中からのオリヴィエの指先。
それぞれに別の刺激を与えられ、ロザリアはただ喘ぐことしかできなくなっていた。
すっと下腹部を手が滑っていく。
下着の上から秘所を撫でられてロザリアはハッと我に返った。
「いや! やめて! お願い!」
体をくねらせて、下着に伸びた手を必死で拒む。
けれど、背中からがっちりとオリヴィエに抱え込まれ、両手首をオスカーにまとめ上げられてしまえば、ロザリアにはほとんど抵抗の余地がない。
とじ合わせた足の隙間から、オリヴィエの指が優しく下着をなぞる。
指が花芯に触れた瞬間、ロザリアの体に今までで一番強い刺激が駆け抜けた。
ロザリアがひときわ跳ねたのを見たオリヴィエは、その部分を責め始めた。
強い力をかけるのではなく、あくまで優しく、時に焦らすように触れる指先に、ロザリアの体が熱を持ち始める。
じわじわと、体の奥からなにかがあふれてくるようだ。
「ああ…。」
拒もうと体に力を入れると、オリヴィエの指が花芯を弄ぶ。
次第にロザリアは抵抗すらできなくなっていった。
下着の中に手をいれようとして、オリヴィエは小さく舌打ちした。
長く伸びたネイルが今ばかりはうっとおしい。
「交代ね。」
オリヴィエはオスカーにロザリアの体を仰向けに渡すと、彼女の膝を割った。
うっすらと湿り気を帯びて、下着が透けている。
たまらなく扇情的な姿態に、オリヴィエの鼓動が激しくなってきた。
オスカーの胸に背中を預け、ふくらみを揉みしだかれているロザリアは、あまりにも美しい。
オリヴィエが下着に手をかけると、またロザリアが足をばたつかせた。
「いやっ!」
叫ぼうとした唇をオスカーが塞いだのを合図に、一気に下着を取り、オリヴィエはロザリアの秘所に舌を這わせた。
「!」
大きく膝を開けられ、その間にオリヴィエの金の髪がある。
もちろん今まで誰にも見せたことのない場所だ。
そこを見られているうえ、舐められている。
あまりの恥ずかしさで、ロザリアは気が遠くなりそうだった。
ぎゅっと足を閉じようとしてもオリヴィエの力がそれを許さない。
それに初めての体は敏感に刺激に反応していた。
花芯を舌先でつつかれ、なめまわされ、ロザリアの体がびくびくと震える。
「感じてるな…。 嬉しいぜ。」
胸を弄っているオスカーに耳元で囁かれ、ロザリアは大きく首を横に振った。
こんなことはおかしいのに。
望んでいないのに。
たしかにロザリアの体は、二人から与えられる快感を悦んでいた。
オリヴィエの舌が花芯を優しく愛撫している。
ロザリアは快感に流されそうになる自分を必死で抑えていた。
初めての体は刺激を受け流すことができずに、ただ飲み込むしかない。
オリヴィエは巧みな舌づかいで、ロザリアの快楽の波をどんどんと大きなものに変えていくのだ。
もうまともな言葉を発することもできない。
中から蜜があふれてきたのを感じて、オリヴィエは彼女の入り口を指先で撫でた。
蜜が絡みついて光る指先。
自分たちがどれほど理不尽なことをロザリアに強いているのか、オリヴィエは十分に理解していた。
貞淑な彼女がこんな関係を受け入れるのは、きっと理性では不可能だ。
ならば。
堕としてしまえばいい。
よがらせて、狂わせて、彼らなしでは生きていけないように。
『どちらかが選ばれるくらいなら、いっそ二人の物にしちゃおうか。』
いつか交わした冗談めいたセリフ。
失うくらいなら、いっそ奪ってしまおう。
ロザリアが離れていこうとした時、同じ気持ちをオスカーも抱いていた筈だ。
自分たちはもう、彼女なしでは生きていけないのだから。
オスカーが人差し指と中指の間に胸の先端をはさみながらゆっくりと揉み上げる。
同時にオリヴィエの舌が花芯を刺激する。
二か所を同時に責められ、ただ喘ぐしかできない。
大きく体を震わせたロザリアの全身を、初めての快感がイナズマのように駆け上がっていった。
「はあ…。」
ロザリアは肩で息をしながら呆然としていた。
今のは一体、なんなのか。
まだ体がびくびくと震えて、自分の意思では指一本動かせない。
オスカーは青い瞳をとろんとさせているロザリアを抱き上げると、あぐらをかいた自分の腿の上へと乗せた。
そして、子供が用を足すときのように彼女の膝裏を抱えると、大きく足を開いた。
「いやあ!」
濡れそぼり、ひくひくと快感に震える秘所を露わにされ、ロザリアは体をよじった。
足の先にはオリヴィエがいるのだ。
さっきまで舐められていたとはいえ、こうまではっきり見られるのは恥ずかしい。
力の入りきらない体で必死にばたつかせた足首をオリヴィエの手が掴んだ。
「愛してる…。 それと…ごめんね。」
ロザリアは初めて、オリヴィエのモノを見た。
大きなそれは、はっきりと屹立し、出口を求めるように脈打っている。
普段女性っぽい雰囲気をしている彼だけに、その野性的な男らしさに目を見張った。
乏しい知識でも、オリヴィエが何をしようとしているのかはわかる。
こんな大きなものが自分の中に入るのが信じられなくて、ロザリアは再び体をよじったが、オスカーの力に抑え込まれてしまった。
オリヴィエの先端がロザリアの入り口にあてられる。
数回、焦らすようにぬるぬると入口を滑らせたオリヴィエは、ゆっくりとロザリアを貫いた。
「痛い!」
鋭い痛みがロザリアを襲う。
思わずのけぞった体をオスカーが支えると、顎を掴んで後ろから強引に唇を奪った。
痛みを与えることはわかっていたし、覚悟してもいたが、やはり彼女から直接拒絶を聞くのは辛い。
「い、ゃあ…。」
ロザリアの声がオスカーの口中に吸い込まれていく。
オリヴィエはしばらく動かずに、ロザリアを感じていた。
何と言っても彼女は初めてなのだ。
強引に動かせば、痛みだけを与えてしまうことになる。
「すごく…いいね…。」
ロザリアの中は十分に潤い、絶頂の余韻なのか、びくびくと波打っている。
そして、初めて受け入れた異物を追い出すように、グッと締め付けてくるのだ。
行為に慣れているはずのオリヴィエでも、強い快楽の波にすぐに吐き出しそうになった。
「ん…。あんたのココ、スゴイ…。」
一度、ゆっくりと先まで引き抜くと、絡む蜜に赤いものが混じっているのが見えた。
彼女の純潔を奪ってしまった証。
喜びと罪悪感とが同時に襲ってきて、オリヴィエは再び一気に深く沈めた。
「ああ!」
ロザリアの体がびくんと大きくのけぞった。
オリヴィエはロザリアの中を掻きまわすように、ゆっくりと出し入れを繰り返していく。
初めてでは快感を感じることは難しいだろう。
それでもできるだけ感じてほしいと、ロザリアの反応を見ながら、中を探る。
そして、ある個所でキュッとロザリアが締め付けるのがわかると、オリヴィエはそこを何度もこすり上げた。
ロザリアは自分がどうなっているのか、全くわからなかった。
全身にびりびりとした刺激が走り、これが快感なのかどうかもわからない。
まるで体が自分のものではないような感覚。
痛みはあるが、それ以上に大きな甘い刺激に頭の芯がしびれてくる。
「いくね。」
オリヴィエがぐっと腰を奥まで入れ、動きを速めたかと思うと、急にロザリアの中から異物感が消えた。
そして、すぐに腿にぬるっとした感触が広がってくる。
「愛してるよ…。」
ぐったりしているロザリアにオリヴィエが優しく口づける。
ふと彼の唇が離れた瞬間。
ロザリアは背中から強く押され、仰向けに寝転んだ。
「今度は俺だ。」
すぐにオスカーがロザリアの中に入ってきた。
オリヴィエのモノよりもわずかに大きなそれは、ロザリアの体を押し広げるようだ。
けれど、昂っていたロザリアの体は、オスカーが入って来ただけで、ギュッと強く締め付けてしまう。
「くっ…。 持ってかれそうだな。」
オスカーの眉が寄る。
オスカーは浅く出し入れを繰り返しながら、唇を首筋にはわせ、ふくらみの先端を摘まんだ。
激しく動けばすぐに達してしまいそうなほど、彼女の中は素晴らしい。
すぐにイってしまうのももったいなくて、丹念に愛撫を繰り返し、ロザリアの反応を楽しむことにした。
彫像のような見事なボディラインを唇でなぞっていくと、その小さな刺激でさえ、びくびくとロザリアの体は震えている。
キスを重ね、花芯を指先で弄ぶ。
そのたびに彼女の中は蠢き、感じたことのないような快楽をオスカーに運んできた。
もうロザリアに抵抗の意思はないようだ。
オスカーはロザリアの両足を大きく開くと何度も彼女の体を突き上げた。
緩急をつけ、リズムを変えてなされるオスカーの動きに、ロザリアは翻弄されていた。
ロザリアの体にオスカーが深々と突き刺さっている。
オスカーは時々、見せつけるように彼女の体から自身を引き抜いては、奥まで挿し入れている。
卑猥な水音がオリヴィエの耳を打った。
「ま、私もさっきやっちゃったけどね。」
オスカーがロザリアの背中越しに見ていると知りながら、彼女を突き上げた。
灼けつくような視線が、さらにオリヴィエを駆り立てたのも事実。
「はあっ・・・!」
オスカーが腰を回し、彼女の片足を持ち上げては、最奥をついている。
赤く染まった頬。 浮かされたように潤んだ青い瞳。
強い快感に侵されるロザリアは壮絶なまでに美しい。
もう彼女は、二人の物だ。
さっき吐き出したばかりの自身が再び昂るのをオリヴィエは感じた。
「くっ…。」
オスカーは激しく体を打ち付けたかと思うと、素早く自身を抜き取った。
ロザリアの真っ白な肌の上に白濁が飛び散る。
生暖かい感触にロザリアは視線をさまよわせた。
「最高だったぜ…。」
オスカーもロザリアに優しく口づけた。
官能的なキスではなく、暖かな思いを込めたキスだ。
熱情が去った後、目の前に横たわるロザリアは、あまりにもか弱く、儚い姿をしていた。
二人の想いを強引に体に刻まれて辛いのだろう。
荒い呼吸のまま、じっと目を閉じている。
今更、事の是非を問うつもりはない。
ただ彼女に赦してもらえたなら。
オリヴィエとオスカーは、祈るような気持ちで、彼女からの言葉を待っていた。